メーカーの花形と言えば開発業務です。
開発職はもの作りの上流工程であり、開発の仕事で会社の業績が左右するといっても過言ではありません。
私は中堅メーカーで1年半ほど開発職に就き、毎日毎日試験評価業務を行っていました。
軽い気持ちで開発職を希望しましたが、辛いこともかなり多く、正直合ってなかったので退職してしまいました。
メーカー志望の技術系就活生の多くは開発職(設計含む)を希望しているのではないでしょうか。
しかし開発職は会社側も情報をあまりオープンにしないので、
「開発職はどんな仕事をしているのか説明してください」と言われてもできない人も多いことでしょう。
私は配属されるまで開発職についてさほど理解していませんでした。
「開発だから新しい製品を作るんだよな?」
「最先端の技術を経験できるんだろうな」
「仕事内容はクリエイティブなものだろう」
この程度の認識です。
なので配属されてからのギャップは悪いほうを中心に凄まじいものがありました。
仕事を正しく理解していないと面接で話せませんし、具体的なビジョンも描けません。
それでもなんとか入社し、なんとなく開発職になっても私のように合わずに辞めてしまう事態にもなりかねません。
開発職志望だけど、どんな仕事なのか、実情を知りたいという人向けに開発経験者の私が解説したいと思います。
開発業務の大まかな分類
もちろんメーカーによりますが開発業務は大きく2つに分かれます。
・新規技術開発(研究開発)
・新規製品開発
新規技術開発は今までにない技術を将来発展のために行う業務で1つのプロジェクトを数年から十数年かけて行います。
新規製品開発は新規製品立ち上げ時に行う業務で、ものによりますが大抵1つのプロジェクトを数年かけて行います。
どちらの業務も新しい技術、物を作るというのが特徴で、業界最先端の企業ならば世界初の画期的な技術を扱うこともできます。
開発職の仕事内容
製品発売までの流れは大まかに以下のようになっています。
企画検討→設計、評価→生産計画→設備導入、改造→生産→販売
開発職が請け負うのは設計、評価までのステップです。
新規技術開発でも新規製品開発でも大抵やることは同じで細分化した業務は以下の4つとなります。
・企画計画業務
今後発売する製品、技術提案を理論的に行う。
・設計業務
製品設計を行い、必要に応じて改良を繰り返し行う。
・試験評価業務
設計された製品が基準をクリアしているか試験を行って評価する。
・プロジェクト管理業務
プロジェクト全体をまとめるリーダー。
初めは製品理解のために設計か試験評価の仕事を任される場合が多いです。
設計業務はCADなどのソフトを用いて設計を行う業務であり、大学で製図をしたことがある人ならわかりやすいのではないでしょうか。
試験評価業務は設計図を元に実際に製品動作をさせて、製品性能が基準を満足するか確認する業務です。
まさに大学の研究室でやっているような実験を数年かけて延々と試行錯誤しながら行う印象です。
大抵、評価を行うと何かしらうまくいかず、その度に原因追求と設計変更を行い、改善後に試験評価を行うという繰り返しです。
新規製品開発は既存製品のマイナーチェンジも多く、前例があるのでトラブルが発生しても対応しやすいのですが、新規技術開発は前例が無いので全てを試行錯誤しないといけません。
開発職は花形でインパクトのある仕事のように思えますが、やる仕事は地道で地味なんです。
開発職のメリットデメリット
開発職のメリット
・自分の考えた製品が世の中に出回る
・先端技術が扱える
・製品知識が深く得られる
開発は製品や技術のことを深く知らないと出来ないので、知識がとても深まります。
そのため、開発業務を行えば、多くの部署で活躍できるオールマイティの人材になれるのです。
企業によっては世界最先端技術が扱えるので、それだけで誇りになりますし、自分の強みになります。
そのため、一生その業界や企業で働こうと思っているならば開発職経験者は喉から手が出るほどほしい人材なのです。
開発職のデメリット
・うまくいかないことが多い
・納期がギリギリになりやすい
・時間外労働が多い
・業務が地味
開発は製品でも技術でも新規のため、想定通りに行くことがほとんどありません。
そのため、余裕にスケジュール設定されていてもズレにずれ込み納期を追い詰めます。
当然納期は製品販売日に直結しているのでずらすことができません。
そのため、スケジュールがズレたらその分を休日出勤や残業でカバーせざるを得ないので時間外労働が多くなりがちです。
業務はひたすら設計変更であったり、ひたすら実験して評価といった形なのでとても地味で地道な仕事です。
そのため、向き不向きがはっきりしていると言えるでしょう。
開発職に向いている人
開発職に向いている人はなんといっても以下の3つだと思います。
・地道な作業が好きな人
・想定通りにいかなくてもめげない人
・製品、技術に対して強い信念を持てる人
大学の研究室で強い信念を持って研究できている人はまさに開発職向きです。
研究室は地道な業務でうまくいかないことが多いので試行錯誤の繰り返し、期間が設定されているなど企業の開発業務にとても似ているので模擬体験ができているようなものです。
企業の開発は納期がしっかりしている研究室だと思えばわかりやすいでしょう。
そのため、大学の研究室で研究がめんどくさい、やりたくない、信念がもてないと思う人には開発をおすすめできません。
ちなみに私は大学の研究がめんどくさいと思っていたのにも関わらず開発へ行き、完全に失敗しました。
大学の研究室を侮ってはいけません。
終わりに
開発は向き不向きがはっきりしている職業です。
向いている人は楽しく仕事をしておりますので天国ですが、向いていない人にとっては地獄の毎日と180度変わるのです。
もしこの記事を読んで、自分は開発向きだと思ったのならば本気で志望することをおすすめします。
向いていないと思ったのならば他にも職種は多くあるので自分に向いているものを探してみるなり、入社してから検討するなど試行錯誤してみましょう。
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