日本の物づくりは世界から高い評価を受けており、日本経済の成長に大きく貢献しました。
そんな物づくりを行っているメーカーに憧れている人もいるのではないでしょうか。
私は工学部卒業後、中堅機械メーカーに就職しました。
就職後は想像と違ったギャップや就活時に注意しておけばよかったことなど後悔もあり、正直言うと就活はうまくいきませんでした。
実際にメーカーに就職して理解したメーカーとは何かを解説したいと思います。
メーカーの仕事の流れ
メーカーとひと括りにしても自動車、機械、電気、紙類、食品、化学…と多岐にわたります。
多くのメーカーは順番に企画、研究開発、設計、評価を行い、生産計画を建て、設備導入または改造を行って工場で生産、業者に販売します。
中には特定の工程を外注しているメーカーもあり、全て自社で行ってるとは限りませんが大まかな流れはこんなものでしょう。
1つのものが作られるまでに多くの時間と経費をかけて試行錯誤し、生産までもっていくのです。
私の勤めていた機械メーカーでは企画から生産まで2~5年ほどでしたが、新規技術の研究開発を行うならば10数年単位の時間をかけることもあります。
メーカーのメリットデメリット
私がメーカー就職して感じたメリットデメリットを紹介します。
メリット
・休みが充実している(完全週休2日制、年間休日120日超えは当たり前)
・有給消化率の高い企業が多い
・労働基準法をきちんと守っている企業が多い
・終身雇用が充実している
・平均年齢が高く、経験豊かな人が多い
友人達が勤めているメーカーもそうですが、休日などの福利厚生はしっかりしています!
というのもメーカーは工場中心の運営で工場を止めるのも稼働させるのも時間がかかります。
そのため休むときは休む、働く時は働くと区切りがしっかりしているのです。
メーカー志望する上で福利厚生面を心配する必要はないと言っても良いくらい充実している企業が多いです。
中には有給消化率19.7日、年間休日127日という企業もあるくらいです。
そして1日や月の最高残業時間も決められている場合があり、働きすぎ防止を徹底しています。
それでも多いところは多いですが少なくとも建築系やSEと比べたら多くありません。
まぁ建築系やSEには労働基準法オーバーのブラック企業が多いからですが…
さらにメーカーは創業年数が長い企業が多く、終身雇用をベースに運営されています。
そのため、平均年齢が高く、その道のベテランが多く在籍しているのです。
デメリット
・年齢層が高く、未だに古い考えが固着している
・他の業界と比べると給料が少なめ
・女性が少なく、男女比が不均等
・女性管理職が少ない(過去いない場合も多い)
・昇進スピードが遅い
・自宅勤務等無い企業が多く、働き方の幅が狭い
メーカーは女性がとにかく少ないです。
まぁ大学の理系学部見たら男女比9対1ですから当然の結果ですが…
大学で女性が少ないのはなんとかなっても企業では結構痛いんです。
女性は家事育児がある人が多いので仕事が効率的であり、なおかつ女性ならではの生活に密着した発想もできます。
それが無いというのは企業にとってとても痛手です。
最近では女性を積極採用するメーカーも多いですが、そもそもメーカーを志望する女性は少ないため、結局男社会が継続されてしまっているのです。
メーカーは男社会で平均年齢が高いので残業至上主義だったり、男尊女卑、育児は女性の仕事など昔の悪い、遅れた思想が管理職中心に強く残っていることがあります。
その古臭い思想を押し付けられたら溜まったもんじゃありません。
そしてメーカーは昔から働き方が変わっていない所も多いです。
IT業界などでは兼業、自宅勤務など多様な働き方が進みつつありますが、メーカーにはそれが無いのです。
残念なことに給料は他の業界と比べても多いとは言えず、昇給、昇進スピードも遅めです。
多くのメーカーでは細く長くであり、それなりの給料がもらえるまでは何十年もかかります。
メーカーの将来性と注意点
日本最大企業はトヨタであり、他にも巨大メーカーはたくさんあります。
さらにこれからIoTやAIなどを用いた物づくりが加速することも予想されており、これからも成長の余地がある業界であると言えます。
ただし、すべてメーカーが安泰か?と言われるとそんなことはありません。
特に以下の3つの内どれか1つでも特徴があるメーカーは例え黒字であっても注意が必要です。
・グローバル展開していない
これから少子化で日本の人口が減っていくのに国内のみで戦っているメーカーは経営が厳しくなる可能性が高いです。
国内のみでは需要が年々減少することが予想されるため、先細りの未来しかありません。
これだけグローバル化が叫ばれている中で海外展開を行っていないとなると将来予測が甘い可能性が高いため、できたら避けたい所です。
もちろん国内だけでも参入障壁が高くて一定の需要があり独占状態の事業があるメーカーでしたら話が別ですが、かなり限定的だと思います。
・子会社メーカー
近年大企業のメーカーであっても経営不振に陥るケースが跡を絶ちません。
経営不振に陥ると赤字事業が見直され、必要に応じて事業売却や事業停止を行います。
つまり、子会社が売却されたり、無くなったりするのです。
海外メーカーへの売却も多く、その度に容赦ないリストラが敢行されることも多いです。
最近の有名大企業だけでも東芝では半導体子会社を日韓米連合に売却、シャープはホンハイに吸収され、NECでも電極子会社を中国に売却などが思い当たります。
ちなみに私が就活の時に面接を受けた大企業子会社は中国に売却されていました。
もちろん売却によって親会社への異動、好転して成長、売却先で転機が訪れるなど良いこともあると思いますので子会社が絶対悪いというわけではありません。
ただし子会社でない企業と比べたらリストラリスクが高いのが現状ですので注意が必要です。
ちなみに経営とはあまり関係ないのですが子会社幹部は親会社からの天下りが大多数を占めているので、将来的に子会社の幹部になりたいと思っている人がいるならばオススメできません。
・単一事業のメーカー
単一事業で展開しているメーカーは今までなんとかなっていたとしてもリスクは高いです。
もちろん参入障壁が非常に高く、一定の需要があり独占状態の事業がある場合は別です。
単一事業ですとその事業が傾いたら一気に利益が減少し、安定性がありません。
これから大幅な成長が見込まれるならいいですが、複数事業でリスク分散ができないというのは結構痛いんです。
そして単一事業と言うことは思考が保守的な企業である可能性が高いです。
儲かっても、成功しても1つの事業にしか投資してこなかったわけですからチャレンジをあまり行ってこなかった可能性が高いのです。
成長している企業はチャンジングで積極的に投資を行っています。
大企業であっても保守的になってチャンレンジをやめたら経営不振になってしまうので、単一事業だけですとなおさら危ういのです。
メーカーは長期雇用がメインですが、将来の成長が見込める所でないと先細りしかしないのです。
数年で辞めるつもりなら問題ないと思いますが、終身雇用目的での就活ならば将来性をきちっと理解しておかないと
「こんなはずじゃなかった…」
と後悔する羽目になるのでご注意ください。
私が勤めていたメーカーの例
「注意が必要といってもそんな急に経営悪化しないでしょ??」
って思うじゃないですか、新卒で入社するまでは私もそう思ってました。
私が勤めていたメーカーは無借金黒字経営、純利益率5%を5年連続と安定しているようにみえました。
しかし私が入社した年から急激な経営悪化に陥り、親会社に主要部門を吸収され、純利益率は0.3%にまで落ちました。
主要部門が無くなったのでこれからの成長性は望み薄です。
製造している商品は非常にニッチなものですが
「国内販売のみ(ライバルは全てグローバル展開)」
「大企業の子会社」
「単一事業展開」
と私の紹介した注意点にまさにマッチしている企業でした。
「それにしたって経営悪化が急すぎるのでは??」
と言いたくなるでしょう。
実は経営悪化する原因は前々からあり、それが一気に襲ってきただけなのです。
私の勤めていたメーカーの経営悪化原因は以下の4つです。
・法制度改正により販売先の意向が変わって大打撃
販売先の意向が変わってあまり購入してくれなくなり、大打撃となりました。
その時ライバルメーカーは海外比率が高いので影響少なめでした。
・単一事業しかないのでリスク分散ができていない
3年前まではもう1つ事業を行っていましたが、親会社の意向で売却して無くなりました。
単一事業でリスク分散ができず、事業悪化が直に影響したのです。
・大企業の子会社で言うことを聞かざるを得ない
子会社というのは基本的に親会社の言いなりです。
親会社がそうしろと言われたらするしかないのです。
言いなりになって自分達で考えることをやめた結果、法制度改正で対応できなくなってしまったのです。
・今まで企画を行っていなかった
なんとなんと商品開発の前に行う企画を今まで行っていなかったのです。
というのも親会社が企画をしてくれていたので自分達で企画する必要性が無かったのです。
今までは親会社の言いなりで、完全に依存していたのです。
しかし法改正により、親会社が企画をしてくれなくなり、大打撃を受けました。
私が勤めていたメーカーの経営不振は以前からあった様々な要因がマッチしたためです。
細かい要因はあるものの、少なくともグローバル展開、複数事業展開、子会社でないという要因が無かったからこそ起きてしまった事態なのです。
日本の昔からのメーカーで私の勤めていたメーカーと同じくこれらの要因が無いために、倒産、吸収という現実に直面している企業が多くあります。
まとめ
・AIやIoTの大頭でメーカーはこれからも成長の余地がある。
・福利厚生面、終身雇用などが充実しているメリットがある
・年齢層が高く残業至上主義などの考え、昔の働き方に固執、女性が少ないなどのデメリットも
・グローバル展開、複数事業を行っている、子会社でないメーカーを選んだ方がいい
自分が本当にやりたい、製品や技術が扱えるメーカーを選べたら自己成長が期待できること間違いありません。
せっかくの就職で失敗しないためにも志望メーカーについて将来性を注視していきましょう!
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