メーカーの技術開発における仕事内容、メリットデメリット、向いている人を徹底解説!!

職種考察

こんにちはあめです。

私はメーカーでプログラマとして普段技術開発部署で仕事しています。
昔は商品開発の仕事もしていましたが、最近はこの技術開発の仕事が大半という状況です。

技術開発は商品開発とは異なり、技術を深める仕事です。
といっても具体的に技術開発がどんな仕事なのかって案外わかりませんよね。

今回は実際に技術開発の部署で技術開発案件に携わっている私が技術開発とは何かからメリットデメリット、向いている人などを解説します!!

技術開発とは

技術開発について説明する前に一般的なメーカーでの開発の流れを紹介します。
企業によって順序は異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。

上3つが開発工程、下3つが製造工程となっています。


研究開発…世の中や企業内で確立されていない技術、モノ等を作り出す
技術開発…世の中にある技術を製品に使用するレベルまで引き上げて確立させる
商品開発…実際に商品を開発する
品質管理…開発した商品の品質をチェックする
生産技術…開発した商品の製造ラインを作る
製造…開発した商品を製造する

研究開発では世の中でまだあやふやで実用化されていない状態の技術を作り上げ、
技術開発は研究開発で得た技術であったり、世の中にある技術を実際に製品に搭載するために技術確立させる仕事になります。

研究開発で作り上げられる技術というものは簡単に使えるレベルでないもの、何に役に立つのかわからないものが多いです。
それに対して技術開発はどんな風に使えるか、技術をより簡単に使えるようにできないか、どんな課題があるか等の調査を行い、実際に製品として使用するために技術の底上げを行います。

例えばわかりやすくレトルト商品を開発するとしたら、研究開発は品種改良などで新しい食材を作り上げる役割、技術開発はその食材を使ってなるべくおいしい料理のサンプルを作ったりレトルトにするにあたり課題の改善方法を調査する役割、商品開発は技術開発で得た知見から料理のレトルトを作る役割みたいな感じです。

企業によって技術開発の位置づけが若干異なっている場合もありますが、総じて技術を高めるための役割である場合がほとんどです。

仕事内容

技術開発の仕事内容は企業によって異なる部分がありますが、私の企業では「世の中に存在する先端技術を社内で使えるレベルまで引き上げる」ということをしています。

例えば世の中でAI技術ってありますよね。
AIといっても非常に様々なことができますし、様々なアルゴリズムが存在しているわけですが、私の企業ではAIを使った製品開発を行ったことが無く、知見も経験もありませんでした。

そのため技術開発でAIとは何か、どんなことができるかといった知識の勉強から世の中に存在するAI製品、アルゴリズムの調査を行い、実際に試作機をいくつか作成してAIを社内で使えるレベルまで引き上げるなんてことをしました。

その他製品に搭載する無線通信の技術レベルを上げるために無線の課題を膨大な試験によって洗い出してその改善方法を調査し、無線の課題とその改善方法を調べるなんてこともしました。

友人の会社では世の中にある面白そうな技術を会議で出し合ってその技術を使った試作機を作り、製品に使えるような代物なのかを調査、使えそうであれば深堀して実際の製品に搭載できるように知見を深めるなんてこともしているようです。

このようにすでに世の中にある技術であったり研究開発で得た技術を実際の製品に搭載するために技術確立させるという仕事を行うのが技術開発です。

プロジェクトの流れ

技術開発の流れは企業によって異なることが多いので絶対にこうだと断言できませんので、大まかな流れになってしまいますが、多くの場合は以下の①~⑥みたいな感じになります。

企業によっては行わなかったり、工程が多かったりと規模感は異なります。
プロジェクトは大体数年規模で、複数プロジェクトを同時並行で進めることも多いです。

研究開発

[技術開発]
①顧客の課題、将来的にニーズがありそうな技術をピックアップ
②技術選定
③技術調査
④その技術を使って実機動作から課題抽出
⑤課題に対する改善策を膨大なデータや事象から導き出す
⑥総括

商品開発

商品開発のようにどのような物を作るか、発売日はいつかといったことが厳格に決まっていないあやふやな状態からスタートするので柔軟性が必要です。

技術開発部署で必要な学歴

技術開発では高度な専門性が必要なので大企業ではほぼ理系院卒のみ募集しています。
中小企業でも理系院卒が有利で、その他理系卒の募集が多いですね。

技術開発は未知の課題に対処するための知識と思考が必要なので、研究活動で鍛えられた論理的思考をもつ理系院卒は有利です。

また理系の専門的な知識がどうしても必要なので文系は正直厳しいです。

メリット

私は過去商品開発と技術開発に携わったことがありますが、これを比較した時に感じる技術開発のメリットがいくつかあります。

先端技術に触れられる

何よりも技術開発では先端技術について触れられます。

しかもその技術を深く理解する必要があるので根本的な知識もつき、実機を動作させて課題抽出するために動作経験も得られます。
結果的に表面上の知識だけではわからないその技術の強さや弱さも理解できる状態になります。

研究開発部署が存在する企業では他企業では深入りできない夢の技術を使った仕事ができる場合もあります。

先端技術に携われるというのは自分の人材価値を向上させますし、仕事のモチベーションも上がるので大きなメリットになります。

広い知識と経験が積める

また技術開発はプロジェクト毎に異なる技術に触れることが多くあったり、幅広く携わるので、長年行っていると広い知識をつけられ、仕事を通して経験を積むことができます。

技術開発では設計から試作、テストまでを個人で行うこともあり、商品開発とは違って幅広く行います。

例えば無線関係の開発をする際は無線デバイスの選定、設計、制御プログラム作成、データ分析、シュミレーションという作業を行います。
これだけでもデバイス関係の知識、無線の知識、プログラミングスキル、データ分析のスキル、シュミレーションのスキルが身に付きます

商品開発では限られた範囲での技術、仕事に携わることが多いですし、そもそも納期に追われて技術を深堀する暇がないため広い知識と経験が積めるのは技術開発ならではかなと思います。

納期は若干緩い

技術開発は初めにざっくりとしたスケジュールを設定しますが、商品開発ほど納期が厳格ではありません。

商品開発だと発売日が決まっているのでそれに合わせて商品開発以外にも他部署の生産技術、品質管理、製造などが歩調を合わせて仕事をします。
そのため商品開発の仕事が遅れるわけにはいかないので納期厳守です。

しかし技術開発は遅れると大変なことになるということも少ないので商品開発ほど納期厳守ではありません。

技術開発で顧客の要望からプロトタイプを作って設置するという場合は初めから厳格に納期が決まっているケースもあります。

ただしプロジェクト後半になると具体的にいつまでに課題を解決して総括をするという期限は決まってくるのでそうなると納期が厳しくなります。

デメリット

技術開発にも商品開発と比較した時のデメリットがいくつかあります。

プロジェクトは小規模なことが多い

商品開発では商品を開発して発売するということで多くの部署と連携して開発を行います。
そのため大規模プロジェクトになりがちです。

しかし技術開発はあくまで技術の底上げになるので、規模感は小さく、少人数でプロジェクトを行うことが多いです。

そのためスケールの大きい仕事というのは少なめになります。

うまくいかないことが多い

技術開発では情報が限られている技術に携わるので課題が出てもその解決策がわからず、時間がかかるケースも多くあります。

例えば無線の技術開発で試験を行う中で通信の途切れが発生した時に途切れの原因を追究しようとしたら、膨大なデータから何らかの周期性や関連性を見つけ出して推定し、その推定原因は本当に原因なのか確認するためにシュミレーションで状態を再現する必要があります。

そもそもデータから何らかの周期性や関連性を見つけ出すというのがとにかく難しく、様々な分析手法を使用して怪しい原因をピックアップして1つ1つシュミレーションや実機で試したりしてしらみつぶしに調査するわけです。

しかしピックアップした候補が全て原因に関係無いということもあり、その時は再度怪しい原因を探し当てなければいけません。

このように課題の原因を突き止めるのだけでも一苦労でとにかくうまくいかないことが多いのが技術開発の仕事になります。

残業続きになることもある

技術開発は残業が少ないことも多いですが、ゴールの時期が決められた時は月30~60hの残業続きになることが多いです。

さきほどの言ったようにうまくいかないことが多いですが、それで終了時期を決められた時は課題解決のために残業してでも原因追及を行います。

例えば今開発している技術が次の商品開発で使うとなった時、顧客の元でプロトタイプを置くとなった時などは明確な時期が定められることも多く、残業続きになります。

具体的な設計図はない

技術開発の仕事は商品開発のように具体的なイメージが初めからはっきりしていません。

一応開始前にスケジュールは立ててそれを軸に仕事はしていきますが、途中で大きな課題が出たときはスケジュールを引き直して具体的に設定するなんてのは日常茶飯事です。

商品開発の場合は開発するためにこの時期までにこの作業を終わらせてこの時期に完了させるといった割と詳細なスケジュールを立てますが、技術開発はどんな課題がでるのかどんな風に進むのかわからないので、ふわっとした感じでスケジュールを立てることになり、あまり明確ではありません。

向いている人

私の経験上、技術開発に向いている人の特徴を紹介します。
技術開発は中々向いていないと難しい仕事です。

課題に積極的なアプローチができる人

技術開発は仕事をしている中で課題が山ほど出てきます。
その出てきた課題に対してめげずに適切なアプローチができる人、課題が出ることが嫌ではない、むしろわくわくするという人は向いています。

わかりやすいのは大学の研究活動です。
研究活動をしていると山ほど課題が出てきますよね。

その課題に対して何をすればいいか、どんな結果を得られればいいかというのを論理的に考えて適切なアプローチができるという人というのは技術開発も問題ありません。
また研究をする上でどんな課題がでるかワクワクするなんて人はもはや心配いりません。

新しいことを学んでいける人

技術開発をする上で新しい技術がばんばん入ってきます。
そのため新しいことを積極的に自分から学んでいかないと技術開発では使えない人材になってしまいます。

そのため自分から新しい情報を仕入れて、技術の勉強をしたり、動向を調査したりといったことができる人でないと技術開発は行えません。

技術が好きな人

技術開発は技術を高めていって確立させる仕事です。

そのため技術が好きであればあるほど興味を持ち、自分から技術について調べたり、勉強したりするので技術が好きな人は技術開発に向いています。

特に技術が好きでプライベートでも何かモノを作り上げてしまうような人は問題ないでしょう。

探求心がある人

技術開発では課題を解決させるためにも表面的な部分だけでなく、深堀して根本的な部分も理解して対処する必要があります。

そのため何か新しいことを知ったときに「これはこういものだ」と表面的な部分だけを見て知った気になるのではなく、根本的な部分も見てどうしてそうなっているのかを知らないといけません。

そのため、自然と探求心を持って、なんでこうなっているんだろうとか、どうしてこうなんだろうとか疑問を持って調べられる人は技術開発に向いています。

技術開発は楽しい

私は過去商品開発と技術開発を仕事で担当したことがありますが、正直技術開発の方が楽しいです。
技術開発の仕事をしているととにかく知識を深めることができるのが何よりも楽しく感じます。

商品開発は納期が厳格すぎる上、納期に追われて技術を深く理解する余裕がありませんでした。

技術開発では納期がそこまで厳格でない場合が多いので、余裕をもって技術を深く追求することができます。
そもそもスケージュール内で技術調査を行い、技術について勉強するなんてこともあります。

このように技術開発は技術を深める、深く理解するにはとても良い仕事であると感じます。

また将来的には自分が開発した技術を使った製品が世の中に出回りますので、それもやりがいになるでしょう。

私個人的には技術開発とてもおすすめです。

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